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上海の基礎知識

ここでは、中国で感じた日本との文化の違いや、現地で見て感じたこと、それから街歩きに必要なテクニックなどを紹介したいと思います。

1.上海,蘇州,杭州の交通事情 〜地下鉄編〜

見つけやすい地下鉄の入り口。 乗り換えも、丁寧な案内があるので安心。 駅構内。ほとんどの駅にホームドアがあるので安全だ。 地下鉄の車内。椅子はプラスチック製で、座り心地は快適とは言えない。 地下鉄の車両。路線別に色分けされているので分かりやすい。ただしほとんどの場合、列車はホームいっぱいに停まる。

上海市内の主な交通手段は、地下鉄,バス,タクシーだが、最も使い勝手がいいのはやはり地下鉄だろう。運賃は2〜9元と日本では信じられないくらい安く、そして何より、市内のほとんどを網羅している。利用方法は基本的に日本と同じで、乗り換え表記も非常に分かりやすく、設備も近代的ですごく便利だ。最も古い1号線の開通で1995年ということで、ホームの多くにはホームドアが備え付けられている。南北線などで見られる密閉式のものから一般的な可動式など様々。そのためか、列車も遅れることはなかった。
車内は基本的には日本と同じだが、異なる点としては、5ドアで6人掛けシートであることと、椅子がプラスチックでできているということだ。清掃がしやすく劣化しにくいというのが理由と言われているが、日本の座席の柔らかさに慣れていると、長時間座るとなるとやはりお尻が痛くなる。つまりは、それだけ日本人の座席マナーが良いということなのだろう。
そして、気になる車内マナーだが、車内マナーははっきり言って良くない。車内での大音量での通話やゲームや物乞い、それから、「我先に!」といった割り込み乗車やスリは日常茶飯事。まさに「何でもアリ」な状態だ。まず驚いたのが、中国の携帯ならば、地下鉄内でも電波が通じる点だ。そのため、車内では大声で通話をしている乗客の姿をよく見かける。周りの人に会話を聞かれて恥ずかしくないのかとも思うのだが、比較的声の大きい中国人の特性とも言えるのだと思う。
また、地下鉄に限らず、中国では割り込みはよくあることである。日本には「降りる人が優先で、乗る人は後」という暗黙の了解が存在するが、地下鉄の場合、扉が開いた瞬間我先に乗り込む輩が多く、乗り口は常にごった返す。素直に降りる人を待てばいいのにとも思うのだが、やはりここにも中国の国民性が如実に表れている。この「我先に」という積極的な精神が、「世界に追い付きたい」という心理に結びつき、この国をここまで発展させたのだろう。
さらに、車内ではスリには厳重に警戒してほしい。私はその被害には合わなかったが、現地の中国人でさえもスリを恐れてリュックを身体の前でしょっているほどだ。同様に、ポケットなどには貴重品を入れてはならない。
なお、2012年5月現在、蘇州と杭州では地下鉄建設工事が続けられている。間もなく完成する予定で、完成すれば市内観光が容易になるだけでなく、道路の渋滞緩和にも大きく貢献することとなるだろう。

〜その他の交通編〜

架線から電気を供給されて走るバスも存在する。 日本の新幹線同様に快適な高速鉄道。車内には食堂車もある。 最高速度430キロの上海リニア。 輪タクなら、細い路地もスイスイ。 レンタサイクルも便利な交通手段の一つ。

そのほか、地下鉄以外にも様々な交通手段が存在する。上海市内での移動は地下鉄メインとなるが、路線さえ把握できれば、バスも非常に便利だ。運賃は上海にしろ蘇州,杭州にしろ、基本的には市内なら1〜2元というこれまた格安で行ける。ただし、注意しなければならないのが、空調ありと空調なしのバスがあるということ。上海市内のバスはほぼすべてが空調付きだが、蘇州,杭州には空調なしのバスも少なからず存在する。空調ありの場合は、先ほどの運賃にさらに1〜2元を付け足すといった具合だ。空調があるかないかは、バスの前面を見れば「空調」と書いてあるのですぐに分かる。
蘇州や杭州などの近郊都市へは、中国高速鉄道(CRH)が便利だ。日本やドイツから技術提供を受けて造られたたため座席もリクライニングでき、車内は日本の新幹線と同様だ。度重なる事故のためか、中国の新幹線と聞くとあまり良い印象はないが、1分1秒遅れることもないし、とても快適で実際「安全」だ。高速鉄道の切符は、駅の窓口だけではなく、市内にある販売窓口にて購入可能だ。人気のある列車は売り切れてしまうこともあるので、手数料5元を払ってでも事前に市内販売窓口で購入しておくことをお勧めしておく。また、駅構内に入場する際、空港並みに厳しい荷物検査をさせられるので注意。
浦東国際空港から、上海市街地入り口の龍陽路駅までは、浮遊式のリニアモーターカーが運転されている。営業中の浮遊式リニアは現在世界唯一で、その最高速度は430キロ!運賃は、空港利用者でさえ40元とかなりの高額だが、あっという間に市街地へ行くことができる。だたし、朝夕は300キロ運転となってしまう。
バスの路線が分からない時や、観光地に直接行きたいときなどは、タクシーを利用すると良い。料金は初乗り12元と、バスや地下鉄と比べると割高感があるのは否めないのだが、それでも安い。基本的には中国語しか通じないので、目的地などを書いたメモを運転手に見せると良い。ただし、くれぐれも「白タク」には注意。
蘇州や杭州の主要観光地の付近には、自転車タクシー(通称「輪タク」)が待機している。自転車は主に三輪車で、後ろの荷台に座って運んでもらうため、イメージとしては人力車に近い。細い路地にも入れるためお勧めだ。
その他、杭州の西湖湖畔などには、レンタサイクルのスタンドがたくさんある。利用には300元のデポジットとパスポートの提示が必要だが、デポジットは何事もなければ全額戻ってくるので安心だ。料金は、1時間以内なら無料で2時間だと1元。自転車はどのスタンドにも返却可能なので、非常に使い勝手がいい。

2. 大気汚染について

一般的に北京や上海の話題になると、増え続ける交通量による大気汚染の深刻化が取りざたされるのだが、個人的にはそれほど深刻ではないように思う。実際驚いたのが、街を走る日本車の多さ。トヨタやホンダ、日産にレクサスなど、ここは日本なのではないかと思うくらい、街には日本車があふれている。なぜなのか良く分からないのだが、どれも新車が多いため、当然排気ガスも少なかったように思う。その他にも、電気で走るバスを走らせるなど、上海市では、大気汚染対策に力を入れているようだ。
しかし、車の排気ガス以上に最も深刻なのがタバコの煙だ。日本では、最近の分煙運動の高まりにより、歩きたばこの禁止や指定喫煙所での喫煙が常識化しつつあるが、中国にはそんなルールはない。そのため、中国人喫煙者は、一般市民や子供が大勢通る人ごみの中でも平気でタバコを吸っている。しかも、火のついた吸い殻をそのまま道路に放置していく人も意外と多いのだ。喫煙者も多いため、非喫煙者にとっては本当に大迷惑だ。市民の健康を守るためにも、指定の喫煙場を設けるなど、市は対策を急いでほしい。

3. 中国の食事情

ローソンやファミマなどの日系コンビニも目立つようになった。 日本でおなじみのファストフードも健在。中国独自のメニューもある。 日本の味が恋しくなったら吉野家でもどうぞ。 屋台には様々な料理がある。ゲテモノにも挑戦してみよう! 新天地や泰康路の高級レストランもなかなかの評判。

基本的には食に困る必要はまったくない。レストランや屋台では、安価で本場の中華料理を楽しむことができるし、その数も非常に多い。
上海市内では、ここ最近、ファミリーマートやローソン、セブンイレブンをはじめとする日系コンビニの進出が盛んだ。パンや弁当から歯ブラシなどの日用品、それから、日本でおなじみのコンビニおでんや本場の肉まんなど、様々なものを取り扱っているためとても便利だ。もちろん、これらに加え現地企業出資のコンビニも多数存在する。
それから、改革開放の影響により、マックやケンタッキー、さらにはミスタードーナツなどのファストフード産業も幅を利かせ、上海市民の食事の選択肢を広めている。マックは日本と同様の店舗数に感じたが、ケンタッキーは日本以上に店舗数が多かったように思う。驚いたのが、上海のマックには、マックカフェ専門のカウンターがあるということだ。専属のマスターがコーヒーを入れてくれるし、ケーキなども一緒に販売されていた。スタイリッシュで高級感があるので、これは日本でもやってほしいと思った。それだけではなく、上海にはスタバやコスタカフェなどのカフェも目立つ。もともと中国人にはコーヒーを飲む習慣はないのだが、近年市民生活にも浸透し始めている。つまりは、上海の食文化がそれだけ多様化,近代化しつつあるということなのである。

4. 値段交渉は必須!

中国を旅するうえで、必ず行わなければならないのが値段交渉だ。中国では個人商店などの場合、ディスカウント可能な店も多い。値段均一ショップだと少々厳しいが、特に値札が張られていないものは絶対に値切ろう。中国のお店は、客から値切られることを前提に「定価」をつけているため、客自らがその「定価」を適正価格までに下げる必要があるのだ。特に相手が外国人だと分かると、相場の数倍もの値段でふっかけてくることが多い。それが一番顕著なのが、日本人をはじめとする外国人観光客が必ず明日を踏み入れるという豫園商城だ。私が確認した限りだが、豫園商城内には相場の4〜5倍の値段で売りつけてくる店も存在した。欲しいものがある時は、あらかじめ数店舗めぐり、その商品の相場を見極めてから値段を交渉するのが得策だろう。

5. 中国人について

早朝の駅前や公園は、太極拳をする市民らでにぎわう。

以前、「中国に行けば、日本人だと分かるだけで殺されるのではないか」などとおかしなことを考えていたが、実際の中国人は、基本的には本当にいい人たちばかりだった。現地では名字(もちろん漢字)の入った中学時代のウインドブレーカーを羽織っていたため、日本人だと分かると気さくに話しかけてくれた。そして私が「我是日本高中生、一年級的学生、一个人、独自旅行(私は日本の高校1年生で、一人旅なんです!)」などと言うと、「凄いじゃないか!よく来たなぁ!」と言わんばかりに心から喜んでくださった。また、高速鉄道の切符発券にてこずったときや道を尋ねたときなどは、親切丁寧に説明してくださった。「人が暖かい」と言えばよいだろうか。杭州からの帰りの新幹線で知り合った上海在住の日本人(詳しくは旅行記参照)の方によると、「日本の報道から連想する中国人と実際の中国人とでは全然違う」と言うのだ。やはり、優しくていい人たちばかりなのだ。また、どちらかと言えば、全体的に所得の高い上海人にとっては、地方から来た田舎者よりも所得の高い日本人を好む傾向があるのだとのこと。
中国人は、日課として定着しているのだろうか、早朝、公園や駅前で太極拳の練習をしている。地域の住民との交流の場でもあり、日本でたとえるとラジオ体操に相当する。それから夜になると、音楽を流して公園や道端で社交ダンスの練習をしている。特にルールはなく適当にやっているようなので、飛び入り参加も可能なのだろう。
余談だが、中国人女性は「あなたは美しいですね」と言うと顔を真っ赤にして喜んでくれる。ちなみに私は旅中に三回これを発動した。店員さんに言えばさらにまけくれる可能性もある(!?)ので、積極的に声をかけてみては?(笑)

やはり、百聞は一見にしかずなのだ。実際に目で見てそれを実感できて本当に良かったと思う。私はそんな彼らが大好きだ。

6. 「写真撮って!」には要注意

先ほど述べた通り、基本的に中国人は優しくて面白く、暖かい人たちばかり。だが一部には、人をだますことによって利益を得ようとする人たちも存在する。以下は私の体験談である。このようなトラブルには巻き込まれないようにしたいものだ。

・事例その1

上海市内観光(1)の夜に、高さ492mの上海環球金融中心ビル100階の大展望台に行った時のことだった。突然見知らぬ「今日が私の22歳の誕生日」と称する中国人女性からスマートフォンを渡され、「私の写真を撮ってくれない?」と声をかけられ、写真を撮ってあげたところとても和やかな雰囲気となりました。話すととても面白いし、授業で習った単語や文法のフレーズを実践できる絶好の機会だと思い、その後は時折英語を交えひたすら楽しく雑談をしました。しばらくして彼女が「せっかくなので、プロのカメラマンさんに写真を撮ってもらわない?」と言い出しました。それは50元もする高価なもので、しかも彼女が私に記念にプレゼントすると言うではありませんか。そして、言われるがままに仕方なく記念写真を撮り、割り勘にしようとも言いましたが結局全額おごってもらうことに...
その後しばらく一緒に館内を見て回り、一階出口へ。すると、彼女がカバンから鈴のようなもの(?)を取り出し、こう言い出しました。
「私は知り合いの作った、中国伝統工芸品でもあるこの鈴が大好きだ。私の名字も鈴に由来している。あなたのお友達や妹さんにプレゼントしないか?」
ここまで来て、私は騙されているのだということに気づき始めました。「ヤバい、このままでは高い鈴を買わされる」そう思い必死で「不要!」と断りましたが、彼女は語気を強めて「どうして?」と迫ってきました。その後しばらくやり取りが続き、私に買う気がないのだと分かると、彼女の方から「再見(さようなら)」と言ってくれ、事なきを得たのでした。

もしあのまま付いて行ってしまったら私はどうなっていたことやら...。要は、写真をおごってあげることによりある意味での「借り」を作り、良い気にさせてから高い民芸品を売りつけようとしたのです。でも、50元もする記念写真がタダで手に入ったので、私の勝ちですね...w あ、もちろん写真は今でも保管してますよ。一種の「思い出」として(笑)

・事例その2

上海市内観光(2)に、南京西路を静安寺方面に歩いていた時のこと。突然西安から来たという中国人3人組からカメラを渡され、またもや「写真を撮って」と頼まれました。昨日のこともあったので無視しようかとも思いましたが、快くそれに応じることに。その後相手のペースに持ち込まれ、やはり和やかな雰囲気になりました。「日本の高校1年生で1人で中国に来たんだ」などと私が言うと、「すごいじゃん、中国語上手だね」などと褒められたりなど。話すことに関しては勉強になりますし、別にいいのですが...。そして始まりましたよ。
「上海のガイドブック持ってるか?」私が差し出すとおもむろにページを開き、上海雑技のページを開いてくるではありませんか。そして、彼ら:「お前上海雑技見たことあるのか?」私:「見たことありません」彼ら:「夜、私たちと一緒に見に行きませんか?静安寺の近くにあります。」すぐにこれは危険だと直感。そもそも、上海雑技など日本でも見られますから、高いし現地で見る必要はないと思っていましたから、私:「不要!」彼ら:「どうして?」私:「そんなの興味ない」彼ら:「じゃあこれは?」...と、次に指定してきたのは外灘の夜景が見える高級レストラン。それも断るとさらには高級な茶館まで勧めてくるのです。何とか必死で振り払っていると、無事難を逃れられました...。

このように、現地では「写真を撮ってもらう」ことを口実に、人をだまそうとする人もいます。ガイドには「中国茶を飲ませてあげようか?」という誘いには要注意などと記されていますが、こちらの方が新しい手口なのでしょう。でも、考えてほしいのは、現地の方と話すのが悪いのではないということ。今回の旅では何度も「写真撮って」と頼まれましたが、そのほとんどが純粋に撮ってほしいだけなのです。中国人と積極的に話して交流することも旅の醍醐味ですからね。話すといい人たちばかりなので、快く応じてあげましょう。ただし、危険を感じたらすぐに逃げた方が身のためです。