中国旅行記 その3

〜シルクロードがもたらした、文化・文明の交錯点〜

三日目、おはようございます!
硬臥といってもそれほど寝台は固くなく、ぐっすりと眠ることができました。起きたらちょうど河南省三門峡付近の山越え区間を走っていました。大体1時間遅れで走行中とのこと。うーん、昨晩の雨が響いたのでしょうか?

YouTube動画: Z92列車 山門峡通過シーン
YouTube動画: Z92列車 車窓
車窓です。今まで私が見てきた上海、蘇州、杭州の土の色とは明らかに違い、全体的に黄色っぽさが目立っていました。「西域」に近づいていることの証でしょうか。そこには荒涼とした大地が広がっていましたが、随所随所で菜の花畑が見受けられ、大変美しかったです! 終点西安駅にはそのまま1時間遅れで到着しました。

YouTube動画: Z92列車 駅通過シーン
西安站、到了〜(´∀`)
上海から西に遥か1500キロ、私はついに西安の地を踏んだのです!!
写真は西安駅。てか、駅がデカすぎて枠に収まらないという...w 流石に上海ほどの都会ではないためか、駅前には大荷物を持った人がたくさんいました。さて、ここから自由時間!
じゃあ早速観光開始!...の前に、この重さ10キロにも及ぶ大リュックをホテルに預けなければ。いきなりバス...と言われましてもどれに乗ればいいのかさっぱり分からないので、西安駅最寄りの「安遠門」駅から、ホテル最寄りの永寧門駅まで、西安地下鉄第一号となる地下鉄2号線に乗車。しかし、西安駅から安遠門駅までが遠くて遠くて...>< 地図では1キロちょっとに見えたのですが実際は2キロもあり、体の前後両方にリュックを背負うという重装備のためか、何と30分近くを要してしまったという(笑)

【結論】
西安駅から安遠門駅までは歩くとヤバい
真新しい地下鉄2号線を永寧門駅で下車。24日〜27日まで3泊するのは、ここ「西安書院国際青年旅舎」です(*^ワ^*)
「ユースホステル」らしく、外装内装共に華やかなホテルで、しかも外国人の多いこと多いこと! ホテルのフロントの方も大変フレンドリーでなおかつ英語はペラペラ...。中国人の英語って、彼ら特有の「巻き舌」があるし、日本人と違って、カタカナなどに代表される「外来語」がないためか、発音が欧米人並みなんですよね。中国人の英語は素晴らしいです。はっきり言って日本人、負けてますよヤバいですよ。
清掃間もない部屋に荷物を置かせてもらい、いざ観光!!
まずはホテル至近の永寧門より「明代城壁」に入場です。古来中国の都市は、城壁によって町ごと守られてきました。日本の城壁と言えばあくまで城の周りだけですが、中国では町ごと囲ってしまうので驚きです。しかし、城壁が未だに完璧に残っている都市は中国全土でもごく僅かなので、西安の完璧に残る城壁は大変貴重なものなのです。しかも、「明代城壁」という名前から分かるように、城壁が造られたのは何と明代の洪武年間! つまり洪武帝の時代のものということで、明が始まってすぐに造られたものなんですよね(゜ロ゜)
写真は通称「南門」こと永寧門。西安の城壁には、西に安定門、北に安遠門、東に長楽門と、四つの大きな門があり、それらの上には写真のような立派な楼閣がそびえたっています! うーん、実に中国的...。
明代城壁の上です。全長は何と13.74キロ! 果てしなさ過ぎてPM2.5ってて先が見えません。よくこんなバカデカいのを作ったよなぁ。
流石に歩いて一周はマジキチということで、レンタサイクルが用意されています(o゚▽゚)o 制限時間は100分。使用料40元の他に、デポジット(一時的な担保金のこと。自転車を壊したりすれば当然返ってこない)200元を支払います。
レンタサイクル、結構ガチめでかっこいいですよね! てか、城壁の上はレンガでガタガタなので、これくらいの自転車じゃないと走破できませんw
城壁の小窓より。ここで戦火を交えたことはあったのでしょうか?
城壁を反時計回りにぐるっと回り、たどり着いたのは「西門」こと安定門。実はこの安定門こそがシルクロードの起点だったとは、皆さんご存知でしょうか? この門を起点に砂漠を超え、そして遥か遠くのインドやヨーロッパへ。幾人もの旅人がここを行き交ったことでしょう。この道を通って絹やお茶、そして陶芸品などが中国から世界各地へ運ばれていったのです。いわば交易の道。大唐帝国時代のの西安(当時は長安)には多くの外国人が住み、世界最大の100万都市として繁栄していたそうです。
しかし実際のところ、唐代の城壁は明代城壁以上の大きさで、「開遠門」という門こそがシルクロードの出発点だったらしいですが(笑)
明代城壁の次に向かったのは小雁塔。創建は何と707年。今から1300年も前の建築物なんですよこれ(((((( ;゚Д゚)))))ガクガクブルブル 大雁塔(後述)に比べて小ぶりなため小雁塔と呼ばれているそうですが、明代に発生した地震により、15層から13層になってしまったのだとか。それにしてもすごい、唐代の遺跡が現役バリバリで残ってるんですよ!!!
小雁塔の屋上より。小雁塔は後述の大雁塔と比べて訪れる人も少なくて静かですし、何よりこの丸みを帯びたシルエットがかっこいいので、私は小雁塔の方が好きですね(笑)
中央に見えるのは西安博物院。数年ほど前に開業した新しい博物館だそうです。私は時間の都合で省略しちゃいましたが...。
小雁塔周辺には、明・清代の頃からと思われる古い建築物が残り、歴史を感じさせる緑豊かな公園になっていました。小鳥のさえずりが絶えず聞こえる市民の憩いの場という感じです。
続いて向かったのは、西安の中心部に位置する「鐘楼」。鐘楼が創建されたのは明代の1384年。これも洪武年間の建築物ですね! 1582年(万歴帝の時代)にこの場所に移されたのだそうです。鐘楼は、英語でそのまま訳すと「Bell Tower」。古来この鐘楼の鐘の音が時刻を告げていたそうです。東西南北から道路が交わる交差点に位置しているので、遠くからでも良く見えます。鼓楼(後述)との共通入場券を買って入場。
鐘楼の内部。めっ、目が回るぅぅぅぅぅぅぅw w w w w w w w
内部はかなり華やかでしたが、上を見ると確実に目が回ります(白目 3秒以上見つめたら確実に酔います(爆)
鐘楼より、北の安遠門方面。道路も大変広々している印象。これも、古都長安の名残なのでしょう。
鐘楼から西へ200m。鐘楼とセットで造られたのが「鼓楼」です。鼓楼を英語に訳すと「Drum Tower」。その名の通り、太鼓の音で時刻を知らせていたそうです。古来中国の街には、鐘楼と鼓楼がセットで造られたそうです。ちなみに鼓楼の創建は、鐘楼より4年早い1380年。個人的には、どっしりとした風格の鼓楼の方が好きだったりします(=´▽`)ゞ
鼓楼より鐘楼を望む。鐘楼鼓楼の位置関係がお分かりいただけるでしょうか?
鼓楼の太鼓〜!
鼓楼見学後、一旦ホテルへ。18時に西安虹陽国際旅行社の方から切符を受け取る約束をしていたからです。元々は、Z92列車が西安駅に着いてすぐに西安駅前のケンタッキーへ向かうよう指示されていたのですが、列車が1時間も遅れたため担当の方はケンタッキーにはお見えにならず、会社が休みということもあってわざわざホテルまで届けに来てくださったのでした! 日本語の上手なこのお方、実は3年間徳島で働いていたそうです。なんで徳島なんでしょうね(笑) 私が夏合宿で徳島を訪れたこと、それと徳島ラーメンを食べたことを伝えると、大変喜んでくださいました。西安虹陽国際旅行社さんに代行手配をお願いしたのは、帰りの西安〜鎮江のT140列車硬臥寝台の切符。硬臥寝台券288元と手数料70元の計358元を支払い、一緒に来てくださった娘さんと三人で記念写真を撮り、お互い握手を交わしてお別れしました。
最後に、西安虹陽国際旅行社さんは私のいかなる質問にも丁寧に答えてくださり、また、切符の受け渡しの際わざわざ私のために親切に届けに来てくださいました。この場を借りて厚くお礼申し上げます。敦煌や烏魯木斉などの西域都市を訪れる機会があったら是非また活用させていただきます。本当にありがとうございました!
しばらくすると陽が沈み始め......
キタ━━(゜∀゜)━━ !!
ヤバい...前から写真等で見て知ってましたが、実物がこんなにも美しいとは...。
余談ですが、夜景撮影って、日が暮れ始めたまだ空がほんのり青い時間帯が一番いいですよね! シャッター速度もそこまで遅くする必要はありませんし、色の持つ本来の美しさが存分に発揮される時間帯だと思います。
対してこちらは鼓楼。凄い...美しい...最高...まさにこの言葉しか出ない。本当に西安に来て良かった!
完全に日が暮れたので、鼓楼北側から北に約500mほど広がる、通称「回族街」へ。回族とはイスラム教を信仰する中国人のことで、中国に1000万人ほど居る少数民族の一つ。この付近にはイスラム寺こと「清真寺(後述)」があるため、回族(清真人とも言う)が2万人ほど住んでいるそうです。
いかがでしょうか? イスラム料理店や雑貨店や骨董品店が軒を連ね、大勢の観光客で夜遅くまで賑わっています! 照明も色とりどりで活気に満ち溢れています! イスラム教徒や外国人観光客が多い様は、まるで古来シルクロードよりたくさんの外国人が集まった古都長安を彷彿とさせ、異国情緒が漂います(〃^∇^) はっきり言って一日中居ても飽きませんし、西安一の繁華街と断言しても過言ではないでしょう。西安名物の土産物も大体はここに集まっていますから(笑)

YouTube動画: 西安回族街 その1
回族と言ってもイメージ湧かないと思うんで、だいたいこんな感じです。女性は頭にスカーフを、男性は頭に白い帽子(?)を被るのが特徴です。彼らはやはり、唐のシルクロード時代に移住した方々の末裔らしいです。ちなみに彼ら回族は、宗教上の理由で豚肉を食べることができず、さらにお酒も飲むことができません。そのためイスラム料理店では、豚肉の代わりに羊肉や牛肉を使い、また、酒類の販売は一切行っていないそうです。

YouTube動画: 西安回族街 その2
メインストリートから外れた路地にて。アーケード街になっており、ご覧の通り左右に土産物屋がビッシリ! 日本人が大好きなパンダグッズや中国雑貨やTシャツなど様々なものが売られており、歩くだけでも本当に楽しいんです!! その中でも特に気に入ったのが、中国風の湯飲み茶わんを売る専門店。店員さんとは超仲良くなり、「Special Price」と称した激安価格にまで値切らせていただきましたv(≧∀≦)v この日は1個だけ買い、気に入ったので後日また訪れてもう1個買ってしまったほどです(笑)
屋台にはたくさんのイスラム名物料理が!
写真は新疆ウイグル自治区でよく食べられているという「ナン」。右はくるみ的な何かですw
これらは果物というのか穀物というのか...?
これらも恐らく西域から伝わってきたものなのでしょう。ちなみに、「西の瓜」と書く西瓜ですが、これもシルクロードを通じて伝わってきた食材なのだとか。すごい...!
大満足で回族街を後に。西安に来たなら是非一度、いや、絶対に回族街を訪れてみてください! とにかく楽しいここは!
ホテルに戻ると、フロントには見覚えのある外国人が......あっ! Z92列車でご一緒したドイツ人じゃないかぁΣ(゚∀゚*)
勇気を出して話しかけてみたところ、なんと彼らも私のことを覚えてくださっていました! 列車もホテルも同じだったとは...。北京に交換留学に行くついでに西安に立ち寄り、明日の列車で北京へと旅立つとのこと。なんと彼らもまた同じ高校生で、左から15歳、17歳、16歳とのことでした。それにしてもドイツ人はみんな背が高い! 私の右にいる金髪の子は、JYJのジェジュンに似てますね(笑)
こんな感じで三日目終了。旅行中は楽しいのであまり感じないのですが、体は想像以上に疲弊し切っていました。あまりの疲れに、ベッドに倒れてそのまま朝を迎えてしまったほどです(苦笑)

旅行記 、3、、8

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